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2026/10/14
ボトックスで歯ぎしりが治らないと感じる理由|効果の判定基準と次に取れる手

咬筋へのボツリヌストキシン製剤の注射を受けたのに、家族から「まだ歯ぎしりの音がしている」と言われた。あるいは、これから治療を受けようと考えているものの、「効かなかった」という声を見つけて不安になっている。そんな方もいるかもしれません。
先に結論をお伝えすると、この治療は「歯ぎしりそのものを止める治療」ではなく、「咬筋の力を弱める治療」です。 そのため、注射後も歯ぎしり自体が続くことはあります。ただし、それだけで「治療が失敗した」と判断することはできません。
問題は多くの場合、効果があったかどうかではなく、何をもって「効いた」と判断するかにあります。この記事では、その判定の基準と、それでも変化が乏しいときに次に取れる手を整理します。
この記事でわかること
- 注射で変わるものと、変わらないもの
- 「治らない」と感じるときに考えられる5つの原因
- 効果を正しく判定する方法と、次に取れる手
まず結論|「音が消えない=効いていない」ではありません

ボツリヌストキシン製剤は、注射した筋肉の収縮する力を一時的に弱める薬剤です。咬筋に注射すれば、咬筋が発揮できる力は下がります。
一方で、歯ぎしりや食いしばりという行為そのものは、睡眠中の脳の活動をはじめ、筋肉の外側にある要因から生じます。注射は筋肉に作用するものであって、その指令を出している側には届きません。
つまり、次のように整理できます。
| 注射で変わりうるもの | 注射では変わらないもの | |
|---|---|---|
| 対象 | 咬筋が出せる力の大きさ | 歯ぎしりをしようとする指令そのもの |
| 結果として | 歯や顎にかかる負荷、咬筋の張り | 歯ぎしりという行為、音が出ること |
歯ぎしりの音は、上下の歯がこすれ合うことで生じます。力が弱まっても、こすれ合う動き自体がなくなるわけではありません。音を成否の物差しにすると、効いていても「効かなかった」と判断してしまうリスクがあります。
ボツリヌストキシン製剤が咬筋に効く仕組み
咬筋の力を弱めるという作用
咬筋は、頬のエラ付近にある、噛むための筋肉です。歯ぎしりや食いしばりが続くと、この筋肉が繰り返し強く使われることになります。
ボツリヌストキシン製剤は、筋肉を動かすための信号の伝達を一時的に妨げる働きを持ちます。その結果、注射した部位の筋肉は強く収縮しにくくなります。歯や顎にかかる力が減ることで、歯のすり減りや顎の疲労感、朝の重だるさといった症状が和らぐことが期待されます。
脳から出る歯ぎしりの指令は消えません
ここが最も誤解されやすい点です。この治療は対症療法にあたります。歯ぎしりが起きる背景そのものに働きかけるものではありません。
日本歯科医師会の資料では、睡眠時のブラキシズムについて次のように説明されています。
最近の研究では、睡眠中の大脳上位中枢の興奮に由来するもので、中枢性に引き起こされるものであることが明らかとなっています。現在では、睡眠時ブラキシズムは多因子性であり、ストレス、性格、遺伝、セロトニン再取り込み阻害薬の服薬、飲酒、喫煙、特定の疾患(脳性麻痺などの中枢神経系の障害、睡眠呼吸障害)など、様々な因子が関与していることが報告されています。
出典:歯ぎしり(日本歯科医師会「テーマパーク8020」)
こここで、よく語られる説明について補足しておきます。「噛み合わせが悪いから歯ぎしりが起きる」という説明を見かけますが、同じ資料はこれを否定しています。
咬合異常がブラキシズムの原因とする科学的根拠は実証されていません。ブラキシズムの発生についての睡眠生理学的研究や咬合原因説に対する検証が進むにつれ、咬合原因論は否定されています。。
出典:歯ぎしり(日本歯科医師会「テーマパーク8020」)
咬筋への注射は、これら多くの因子のうち「筋肉が強く収縮すること」だけに作用します。
そもそも歯ぎしりには、音が出ないタイプがあります

ここで、判定の話に入る前に確認しておきたいことがあります。日本歯科医師会は、歯ぎしり(ブラキシズム)を次のように説明しています。
ブラキシズムは下顎の運動を伴うグラインディング(いわゆる歯ぎしり)とタッピング、一定の下顎位で行われるクレンチング(かみしめ)とに分類することができます。
出典:歯ぎしり(日本歯科医師会「テーマパーク8020」)
つまり、次の3つに分けられます。
| タイプ | どういう動きか | 音 |
|---|---|---|
| グラインディング | 上下の歯を横にこすり合わせる | 出る |
| クレンチング | 音を立てずに強く噛みしめる | 出にくい |
| タッピング | 上下の歯をカチカチと打ち鳴らす | 出ることがある |
このうち、音が出るのは主にグラインディングです。 強く噛みしめるクレンチングは、日中も無意識に起きていることがあり、音が出ないまま歯や顎に強い負担をかけ続けます。
つまり、次の2点が指摘できます。
ひとつは、もともと音が出にくいタイプであれば、注射の前後で音の変化を比べること自体ができないということです。家族に「変わらない」と言われても、そもそも音を指標にできない状態かもしれません。
もうひとつは、音がしないからといって、歯ぎしりがないとは限らないということです。朝の顎の疲れ、頬の内側に歯型のような線がつく、歯がしみるといった所見から、歯科医院で気づかれることがあります。
どのタイプが強く出ているかは、歯のすり減り方や顎の状態を診察して判断します。
同じ資料には、音を発しないクレンチングは見つけにくいという趣旨の記述もあります。
歯ぎしり音を発せず咬耗を生じにくいクレンチングの検出が難しいこと(中略)など、臨床徴候のみを指標とした診断の信頼性には限界があり、注意を要します。
出典:歯ぎしり(日本歯科医師会「テーマパーク8020」)
専門家が診ても検出が難しい現象を、音の有無だけで判断することはできません。
効果が出るまでの期間と、効果が続く期間

打ってすぐには変わりません
注射の直後に変化を感じないのは、通常の経過です。一般に、効果は注射後2〜3日ほどで現れ始め、1〜2週間でピークに達するとされています。
さらに、咬筋そのものの張りが目に見えて落ち着くまでには、1か月程度かかることもあると説明されています。
| 時期 | 一般に言われる状態 |
|---|---|
| 直後〜2日 | 変化を感じにくい |
| 2〜3日ごろ | 効果が現れ始める |
| 1〜2週間 | 効果がピークに達する |
| 1か月ごろ | 咬筋の張りの変化が分かることがある |
注射から1週間以内に「効かなかった」と判断してしまうと、まだ効果が立ち上がりきっていない時期に評価していることになります。
効果が薄れる時期
効果は永続しません。持続期間には個人差がありますが、一般的に3〜6か月程度とされています。
効果が薄れれば、咬筋の力は元に戻っていきます。そのため、効果を保ちたい場合は継続的な施術が必要になります。一度で完了する治療ではないという前提は、治療計画や費用を考慮するうえで重要です。
「治らない」と感じるときに考えられる5つの原因

1. 効果の判定基準が「音」になっている
すでに述べたとおり、歯ぎしりの音が続くことは治療の失敗を意味しません。判定に使う指標を「音の有無」から別の項目へ変える必要があります。
2. 単位数が足りていない
咬筋の発達程度には個人差があります。筋肉が非常に発達している場合、少ない単位数では変化を感じにくいことがあります。
歯科医院ではスタンダード(40単位)やプレミアム(80単位)などのプランが用意されており、咬筋の状態に合わせて調整されます。
なお、単位数と効果の関係には個人差があり、「量を増やせば必ず効く」というものではありません。 担当の歯科医師と相談のうえで決定します。
3. 効果を判定する時期が早すぎる
前述のとおり、効果のピークは施術から1〜2週間後です。数日程度で効果がないと判断していないか確認してください。
4. 歯ぎしりの原因が咬筋以外にもある
睡眠時のブラキシズムには、ストレス、性格、遺伝、服薬、飲酒、喫煙、睡眠呼吸障害など複数の因子が関与するとされています。これらが強く影響している場合、咬筋への注射だけでは十分な変化が得られないことがあります。
すべてのブラキシズムがストレスだけに起因するわけではありません。原因をひとつに決めつけず多角的に検討することが大切です。この場合に必要なのは注射を安易に繰り返すことではなく、背景要因を再確認することです。
5. 咬筋以外の筋肉が関与している
顎を動かす筋肉は咬筋だけではありません。こめかみ付近に広がる「側頭筋」も、噛みしめ時に大きく作用します。
側頭筋の関与が大きい場合、咬筋だけに注射してもこめかみの張りや締めつけ感は残ることがあります。「顎の負担は軽くなったが、頭痛のような違和感が残る」という場合、この可能性が考えられます。
どの筋肉が強く働いているかは、噛みしめた状態で触診して確認します。気になる症状がある場合は、受診時に具体的に伝えてください。
変化が乏しいまま放置すると、どうなるのか
適切な対応を行わずに経過を観察した場合に、どのような影響が考えられるかを整理します。
強大な力が歯にかかり続けると、次のようなトラブルにつながる可能性があります。
| 起こりうること | 内容 |
|---|---|
| 歯のすり減り(咬耗) | 噛む面が平らになり、歯の高さが低くなっていきます |
| 詰め物・被せ物の破損 | 欠けたり外れたりする頻度が上がることがあります |
| 歯や歯根の破折 | 抜歯が必要になる場合があります |
| 知覚過敏 | 歯の表面が削れ、冷たいものがしみやすくなります |
| 顎関節の症状 | 口が開けにくい、顎が鳴るといった症状が出ることがあります |
| 歯ぐきへの影響 | 歯を支える組織に負担がかかることがあります |
これらは必ず発生するわけではありませんが、一度進行すると元に戻すことが難しいため、音の有無だけに頼らず歯科医院で定期的状態を確認することが推奨されます。
効果を正しく判定する方法
音ではなく、以下の指標で効果を評価してください。
| 見る指標 | いつ確認するか |
|---|---|
| 起床時の顎の重さ・だるさ | 注射から2週間後および1か月後 |
| 噛みしめた際の咬筋の張り | 注射から2週間後および1か月後 |
| 肩こり・頭痛の程度 | 注射から2週間後および1か月後 |
| 歯のすり減り(咬耗)の進行度 | 定期受診時に歯科医師が確認 |
| 詰め物や被せ物の破損頻度 | 定期受診時に歯科医師が確認 |
日本歯科医師会の資料においても、睡眠時ブラキシズムの臨床診断基準として次の項目が挙げられています。
1)歯の異常な磨耗が認められる。
2)起床時に咀嚼筋の不快感、疲労、痛みや顎の引っかかりがある。
3)強く随意かみしめをした際に咬筋の肥大が認められる。
出典:歯ぎしり(日本歯科医師会「テーマパーク8020」)
診断に用いられる指標こそが、効果を客観的に判定する基準となります。ただし、歯のすり減りなどは自身で判断しにくいため、定期的に歯科医院でチェックを受けましょう。
次に取れる手
単位数を見直す
咬筋の発達状況に応じて、単位数の変更が選択肢となります。前回の施術で使用した単位数や注射部位を担当医へ確認してください。
ナイトガードを併用する
ナイトガードは就寝中に装着して歯を物理的に保護する装置であり、咬筋の力を弱めるものではありません。
| ボツリヌストキシン製剤療法 | ナイトガード | |
|---|---|---|
| 作用対象 | 咬筋(筋肉の力) | 歯(かかる力の受け止め方) |
| 目的 | 咬合力そのものを弱める | 歯の摩耗や破損を防止する |
| 使用タイミング | 注射後、効果の持続期間中 | 就寝中に装着 |
両者は目的が異なり、併用することで相互にメリットが得られます。
| 咬合力 | 歯への負荷 | 歯のすり減り抑制 | |
|---|---|---|---|
| ボツリヌストキシン製剤療法のみ | 弱まる | 軽減される | 進行の抑制が期待できる |
| ナイトガードのみ | 変化なし | 装置が受け止める | 装置が咬耗 を防ぐ |
| 併用 | 弱まる | 減弱された上で装置が吸収 | 両面から保護される |
特にすり減りが進行している場合は併用が推奨されますが、お口の状態に合わせて選択します。
歯ぎしり以外の原因を調べる
噛み合わせの精密検査や睡眠状態の確認など、多角的なアプローチが必要となる場合があります。
担当の歯科医師に伝えるとよいこと
再相談時には、以下の情報を整理して伝えると診察がスムーズになります。
- 前回の施術日と使用した単位数
- 効果を感じ始めた時期および薄れた時期
- 変化が見られた症状・見られなかった症状
- 現在の生活環境(ストレスや睡眠状況)
- ナイトガードの使用状況
歯ぎしりが目的の場合、歯科医院で受ける意味
咬筋へのボツリヌストキシン注射は、美容目的(エラ張り改善など)でも行われています。「同じ注射であればどの医療機関で受けても同じではないか」と考えられる方も少なくありません。
しかし、美容目的と歯ぎしり・食いしばりの改善目的とでは、事前に必要な診査・評価が異なります。
歯科医院での診察では、注射の適応判断に加えて以下のようなお口全体の評価を行います。
- 歯のすり減り(咬耗)の程度:日本歯科医師会の臨床診断基準にも挙げられている重要な項目です。
- 詰め物・被せ物の状態:過剰な力による破損や脱落の有無を確認します。
- 歯や歯根の破折 :進行すると抜歯リスクとなるため早期発見が重要です。
- 顎関節の状態:開口障害や顎関節音などの症状がないかを調べます。
- 関与している筋肉の特定:咬筋だけでなく側頭筋などの影響の有無を触診します。
これらは歯科領域における専門的な評価項目です。ボツリヌストキシン治療によって筋肉の力を弱めても、すでに生じている歯の摩耗や被せ物の破損が自然に治癒することはありません。それらに対する適切な処置や保護が必要かどうかを総合的に判断できる点が、歯科医院で受診する意義となります。
また、背景因子によってはナイトガードの併用や他のアプローチが適している場合もあります。専門的な観点からの診断を含めて相談することが重要です。
施術を受ける前に知っておきたいリスクと費用
ボツリヌストキシン治療は自由診療(保険適用外)となります。施術を受けるにあたっては、治療内容、費用、およびリスクを十分にご確認ください。
治療内容
咬筋にボツリヌストキシン製剤を注射し、筋肉の収縮力を一時的に軽減させることで、歯ぎしり・食いしばりに伴う諸症状の緩和を図る治療です。
費用(当院)
| コース | 費用 |
|---|---|
| スタンダード(40単位)初回 | 15,840円 |
| プレミアム(80単位)初回 | 19,360円 |
| 2回目以降 | 19,800円〜 |
※料金および適用条件は変更される場合があります。施術前のカウンセリング時に最新の料金表をご確認ください。
※単位数につきましては、歯科医師の診察(診断)のうえ必要量を決定いたします。
使用する製剤と、承認されている効能・効果について
ボツリヌストキシン製剤には複数の種類が存在し、国内で承認されているボツリヌストキシン製剤と、その承認された効能・効果(例:咬筋膨隆など)は製剤ごとに異なります。
国内承認の範囲外の目的や用法で製剤を使用する場合(適応外使用)、医療機関は医療広告ガイドライン等に基づき、患者様へ以下の事項を説明することが求められています。
- 承認された効能・効果の範囲外での使用である旨
- 該当製剤の入手経路等
- 国内における他の承認医薬品等の有無
- 諸外国における安全性や有効性に関する情報
当院で使用する製剤の詳細や承認状況については、施術前の説明時に書面等を用いて丁寧にご案内いたします。
リスク・副作用
- 注射部位の疼痛、腫れ、内出血が生じることがあります。
- 一時的に咀嚼力が低下し、硬いものが噛みにくく感じられる場合があります。
- 効果の現れ方に左右差が生じることがあります。
- 作用は一時的であり、効果を維持するには定期的な再施術が必要です。
- 妊娠中・授乳中の方、または妊娠を計画されている方は施術を受けられません。
- 個人の体質や筋肉の状態により、期待される効果に差が生じる場合があります。
気になる症状や異常を感じた場合は、速やかに受診先へご相談ください。
施術後の過ごし方と注意点
施術後の過ごし方によって、薬剤の生体内での拡散状態に影響が出る場合があります。以下の点にご注意ください。
| 時期 | 注意事項 |
|---|---|
| 当日 | 注射部位を強く揉んだりマッサージしたりしない |
| 当日 | 激しい運動、長時間の入浴、サウナ、過度の飲酒を避ける |
| 当日〜翌日 | 注射部位を圧迫する体勢(うつ伏せ寝など)を避ける |
| 数日間 | 内出血が生じた場合は摩擦を避け自然な経過を観察する |
これらの制限は、注射した薬剤が周囲の意図しない筋肉へ拡散することを防ぐための一般的な処置です。担当医の指示に従って経過をお過ごしください。
なお、内出血が生じた場合、消退までに1〜2週間程度を要することがあります。重要な予定がある場合は、日程に余裕を持って施術スケジュールを立てることを推奨します。
施術を受けるにあたり注意が必要な方
以下の項目に該当する方は、施術を受けられないか、あるいは事前の慎重な評価が必要です。診察時に必ず医師へ申告してください。
- 妊娠中、授乳中、または妊娠の可能性がある方(男女ともに一定期間の避妊が必要です)
- 重症筋無力症などの全身性神経筋接合部障害のある方
- 過去にボツリヌストキシン製剤でアレルギー等の重篤な副反応が出たことがある方
- 喘息等の呼吸器系疾患や特定の服薬を行っている方
- 注射部位に感染や皮膚炎等の炎症がある方
自己判断せず、現在の健康状態や服用中の薬について診察時に詳しくお伝えください。
※脂肪溶解注射およびボトックス注射は、お一人おひとりの状態に合わせて医師が適切な必要量を診察・決定いたします。そのため、安全面や効果の観点から、必ずしもご希望通りの投与量とならない場合がございますのであらかじめご了承ください。
よくある質問
Q. 施術の翌日に歯ぎしりの音がしていました。失敗でしょうか。
A. 効果は注射後2〜3日頃から徐々に現れ始め、1〜2週間でピークに達します。翌日の時点では薬剤の作用が十分に立ち上がっていません。また、音が続くこと自体が「治療の失敗」を意味するわけではありません。
Q. 単位数を増やせば必ず効きますか。
A. 単位数を増やせば必ず効くとは限りません。咬筋の発達具合には個人差があり、また歯ぎしりの原因が筋肉以外の中枢性因子やストレス等にある場合、単位数を増やしても変化が乏しいことがあります。臨床所見に基づき決定します。
Q. どのくらいの頻度・間隔で施術を受けるべきですか。
A. 効果の持続期間には個人差がありますが、一般的に3〜6か月程度とされています。経過を観察しながら、効果が薄れるタイミングに合わせて適切な再施術時期をご相談ください。
Q. ナイトガードだけの治療では不十分ですか。
A. ナイトガードとボツリヌストキシン治療は目的が異なります。ナイトガードは歯や修復物の物理的な摩耗・破損を防ぐ装置であり、筋肉の噛みしめる力そのものを弱めるものではありません。歯の保護が最優先であればナイトガードが第一選択となる場合もあります。
Q. 歯ぎしりそのものが完全に治るのですか。
A. この治療は、睡眠中の脳からの指令による歯ぎしり行為そのものを無くす(根本治癒させる)ものではありません。咬筋の過剰な収縮力を緩和し、歯や顎関節への負担を軽減させる対症療法です。
まとめ
- ボツリヌストキシン治療は、歯ぎしりの行為自体を止めるのではなく、咬筋の過剰な力を弱める治療です。
- 歯ぎしりの音が残っていても、力の負荷が軽減されていれば治療効果は得られています。
- 効果は2〜3日で現れ始め、1〜2週間でピークに達します。持続期間は3〜6か月程度です。
- 「効果がない」と感じる背景には、評価基準の違い、単位数不足、時期尚早、中枢性因子の関与、側頭筋など他筋肉の関与の5つが考えられます。
- 効果の判定は「音」ではなく、朝の顎の疲労感、咬筋の張り、歯の摩耗状態などを指標にします。
- 改善が見られない場合の対応策には、単位数の再調整、ナイトガードの併用、多角的な原因の追究があります。
歯ぎしりや食いしばりによる症状でお悩みの方は、歯科医院にてお口と顎の状態に合わせた適切な診断と治療法をご相談ください。
参考文献
- 歯ぎしり(日本歯科医師会「テーマパーク8020」)
- 医療広告ガイドラインに関するQ&A(厚生労働省)